Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.とRidgeback Biotherapeuticsが開発中の 経口抗ウイルス薬モルヌピラビル、第3相試験の中間解析で 軽症から中等症の新型コロナウイルス 感染症患者の入院または死亡リスクをプラセボと比較して約50%低減 中間解析の時点で、モルヌピラビル群では29日目までに入院 または死亡に至った患者は7.3%、 プラセボ群では入院または死亡に至った患者は14.1% 米国で緊急使用許可の申請を速やかに提出し、 世界各国の規制当局にも承認申請を提出する予定 承認されれば新型コロナウイルス感染症に対する初の経口抗ウイルス薬となり得る
October 4, 2021 12:00 am ET
報道関係各位
MSD株式会社
この参考資料は、Merck and Ridgeback’s Investigational Oral Antiviral Molnupiravir Reduced the Risk of Hospitalization or Death by Approximately 50 Percent Compared to Placebo for Patients with Mild or Moderate COVID-19 in Positive Interim Analysis of Phase 3 Study の日本語訳であり、内容や解釈については英語が優先されます。
モルヌピラビル(molnupiravir)は、日本国内では開発中の段階です。
参考資料
Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.とRidgeback Biotherapeuticsが開発中の
経口抗ウイルス薬モルヌピラビル、第3相試験の中間解析で
軽症から中等症の新型コロナウイルス
感染症患者の入院または死亡リスクをプラセボと比較して約50%低減
中間解析の時点で、モルヌピラビル群では29日目までに入院
または死亡に至った患者は7.3%、
プラセボ群では入院または死亡に至った患者は14.1%
米国で緊急使用許可の申請を速やかに提出し、
世界各国の規制当局にも承認申請を提出する予定
承認されれば新型コロナウイルス感染症に対する初の経口抗ウイルス薬となり得る
2021年10月1日:ニュージャージー州ケニルワース、マイアミ―Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(米国とカナダ以外ではMSD)とRidgeback Biotherapeuticsは本日、開発中の経口抗ウイルス薬のモルヌピラビル(MK-4482、EIDD-2801)が、第3相MOVe-OUT試験の中間解析において、重症化リスク因子を有する入院していない軽症から中等症の新型コロナウイルス感染症の成人患者の入院または死亡のリスクを有意に低下させたことを発表しました。中間解析の時点で、モルヌピラビルは入院または死亡のリスクを約50%低減しました。無作為割り付けから29日目までに入院または死亡した患者はモルヌピラビル群では7.3%(385例中28例)、プラセボ群では14.1%(377例中53例)でした(p=0.0012)。29日目までにモルヌピラビル群では死亡例はなく、プラセボ群では8名の患者が死亡しました。独立データモニタリング委員会の推奨を受け、米国食品医薬品局(FDA)とも相談の上、本試験の良好な結果により被験者の募集は早期に終了します。この結果に基づき、当社は米国FDAに緊急使用許可(EUA)の申請を速やかに提出し、世界各国の規制当局にも承認申請を提出する計画です。
当社のCEO兼プレジデントのRobert M. Davisは、「新型コロナウイルス感染症は世界中で主な死因となり、患者さん、ご家族、社会に深刻な影響を与え続け、医療の逼迫の原因となっており、これと戦う手法や治療のさらなる充実が喫緊に求められています。このたびの非常に良好な結果を受け、モルヌピラビルがパンデミックとの戦いに対する国際的な取り組みの中で重要な治療薬となり、最も必要とされる時に感染症に対する画期的な治療薬を提供してきた当社の歴史に新たに加わるものと期待しています。人々の命を救い生活を改善していく当社の揺るぎない取り組みに沿って、規制当局と連携して申請を進め、モルヌピラビルを患者さんに一日も早くお届けできるよう、最善を尽くしてまいります。モルヌピラビルの開発に欠かせない貢献をしてくださる治験責任医師や患者さんに、当社の全社員を代表して感謝を申し上げます」と述べています。
Ridgeback BiotherapeuticsのCEOであるWendy Holmanは、「ウイルスは依然として広く猛威を振るっていますが、現在提供されている治療の選択肢は点滴など医療施設での処置が必要であり、新型コロナウイルス感染症の患者さんが通院せずに自宅で服用できる抗ウイルス薬のニーズが非常に高まっています。中間解析の結果は非常に心強いものであり、モルヌピラビルの使用が許可されればパンデミックの抑制に大きく貢献できるものと期待しています。この薬剤が承認された際に迅速なグローバルアクセスを実現するためにはMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.との連携が非常に重要であり、この重要な開発段階にたどり着けた協業に感謝しています」と述べています。
中間解析の結果について
中間解析では、2021年8月5日までに第3相MOVe−OUT試験に初期登録した775名の患者からのデータを評価しました。中間解析における非常に有望な有効性の結果に基づき、被験者登録を中止する判断がなされた時点で、第3相試験の予定症例数である1,550名に近い人数の患者が登録済みで、その90%以上に達していました。
無作為割付け前5日以内にCOVID-19の症状を発症し、検査で感染が確認された軽症から中等症の新型コロナウイルス感染症患者を本試験の対象としました。また、すべての患者で、登録時に重症化リスク因子を1つ以上有していることも登録条件でした。モルヌピラビルはすべての主要サブグループで入院や死亡のリスクを低下させました。有効性は発症のタイミングや基礎疾患などのリスク要因の影響を受けませんでした。また、ウイルスのシーケンスデータ(遺伝情報)が得られた患者(登録患者の約40%)での解析において、モルヌピラビルは変異株のガンマ株、デルタ株、ミュー株で一貫した有効性を示しました。
有害事象の発生率はモルヌピラビル群とプラセボ群で類似していました(それぞれ35%、40%)。また、同様に治験薬との因果関係があると判断された有害事象(副作用)の発生率も類似していました(それぞれ12%、11%)。有害事象により治験薬の投与を中止した患者はモルヌピラビル群では1.3%で、プラセボ群の3.4%より低くなりました。
EUAまたは承認取得後のモルヌピラビルのアクセス実現に対するMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の取り組み
MOVe-OUT試験の良好な結果を得られることを前提として、当社ではリスクを取り、モルヌピラビルの生産を開始しています。2021年末までに1000万治療コース分を生産できると予測しており、2022年はさらに生産を拡大していく予定です。
今年に入ってから当社は、米国FDAのEUAまたは承認取得後に、約170万治療コース分のモルヌピラビルを米国政府に供給する調達契約を米国政府と締結しました。また、承認取得後にモルヌピラビルを供給する調達契約を世界各国政府と締結しており、その他政府とも協議を進めています。
当社はモルヌピラビルの許可や承認を取得できた場合、世界中で速やかに本剤を提供していきたいと考えており、世界銀行による国の所得基準に基づき、新型コロナウイルス感染症の公衆衛生対策における各国の相対的な経済力に応じて段階的な価格設定を採用する計画です。
広くグローバルアクセスを確保する取り組みの一環として、低・中所得国100カ国以上において、各国の規制当局による承認または緊急使用許可を取得後、モルヌピラビルを速やかに提供できるよう、実績のあるジェネリックメーカー数社とモルヌピラビルの非独占的で社会貢献的なライセンス契約を締結したことを発表しています。
MOVe-OUT試験について
MOVe-OUT試験(MK-4482-002)(NCT04575597)は、二重盲検無作為化プラセボ対照国際多施設共同第3相試験で、検査により軽症から中等症の新型コロナウイルス感染症の診断を受け、重症化リスク因子を1つ以上有し、無作為割り付け前の5日以内に発症した入院していない成人患者を対象として実施されました。MOVe-OUT試験の主要有効性評価項目では、無作為化から29日目までに入院または死亡に至った患者の割合をモルヌピラビルとプラセボで比較しました。
MOVe-OUT試験の第3相試験部分は、アルゼンチン、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、エジプト、フランス、ドイツ、グアテマラ、イスラエル、イタリア、日本、メキシコ、フィリピン、ポーランド、ロシア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、台湾、ウクライナ、英国、米国など世界各国の170以上の事前に計画された施設で実施されました。MOVe-OUT試験の詳細はclinicaltrials.govをご覧ください。
重症化リスク因子で最も多かったのは肥満、高齢(60歳超)、糖尿病、心疾患などでした。これまで試験で評価した症例の80%近くがデルタ株、ガンマ株、ミュー株の変異株でした。南米、欧州、アフリカにおける登録者数は全体のそれぞれ55%、23%、15%でした。
モルヌピラビルについて
モルヌピラビル(MK-4482/EIDD-2801)は経口投与が可能な強力なリボヌクレオシドアナログの治験薬で、新型コロナウイルス感染症を引き起こすSARS-CoV-2を含む様々なRNAウイルスの複製を阻害します。モルヌピラビルはSARS-CoV-2の予防投与、治療、感染防止などのいくつかの前臨床モデル、またSARS-CoV-1、MERSに対する活性が認められています。また、モルヌピラビルは前臨床および臨床データで、主流のSARS-CoV-2変異株に対する活性が認められています。モルヌピラビルはエモリー大学が100%出資する非営利バイオテクノロジー企業のDrug Innovations at Emory (DRIVE), LLCで発明され、現在Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.がRidgeback Biotherapeuticsと協力して開発を進めています。RidgebackはMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.から一時金の支払いを受けており、さらに一定の開発および承認取得のマイルストンの達成に基づく支払いを受ける権利があります。この連携から生じる利益は全額、両社で均等に分割されます。Ridgebackによるライセンス供与以降、モルヌピラビルの開発資金はMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.とRidgebackのWayne and Wendy Holmanが全額提供しています。
モルヌピラビルは、曝露後の発症予防として、家庭内における新型コロナウイルスの拡大を防止する効果と安全性を評価する二重盲検無作為化プラセボ対照国際多施設共同第3相試験のMOVe-AHEADも実施されています。詳しくは、http://merckcovidresearch.comをご覧ください。
Ridgeback Biotherapeuticsについて
フロリダ州マイアミに本社を置くRidgeback Biotherapeutics, LPは、新興感染症を専門とするバイオテクノロジー企業です。エボラ治療薬EbangaTMを提供し、開発パイプラインでは新型コロナウイルス感染症治療薬のモルヌピラビルなどが後期開発段階にあります。モルヌピラビルの開発資金はRidgeback BiotherapeuticsとMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.が全額提供しています。Ridgeback Biotherapeutics, LPは、命を救う医療テクノロジーに投資し、これを支援するWayne HolmanとWendy Holmanが個人的に資金を提供して創業しました。Ridgebackの社員は、擁護が必要な患者さんや疾患に対し、命を救い生活を改善するソリューションを模索しています。
Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.について
Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(米国とカナダ以外ではMSD)は130年にわたり、人々の生命を救い、人生を健やかにするというミッションのもと、世界で最も治療が困難な病気のために、革新的な医薬品やワクチンの発見、開発、提供に挑みつづけてきました。また、多岐にわたる政策やプログラム、パートナーシップを通じて、患者さんの医療へのアクセスを推進する活動に積極的に取り組んでいます。私たちは、今日、がん、HIVやエボラといった感染症、そして新たな動物の疾病など、人類や動物を脅かしている病気の予防や治療のために、研究開発の最前線に立ち続け、世界最高の研究開発型バイオ医薬品企業を目指しています。詳細については、当社ウェブサイトやTwitter、Facebook、Instagram、YouTube、LinkedInをご参照ください。
Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の将来に関する記述
このニュースリリースには、米国の1995年私的証券訴訟改革法(the Private Securities Litigation Reform Act of 1995)の免責条項で定義された「将来に関する記述」が含まれています。これらの記述は、Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の経営陣の現時点での信条と期待に基づくもので、相当のリスクと不確実性が含まれています。新薬パイプラインに対する承認取得またはその製品化による収益を保証するものではありません。予測が正確性に欠けていた場合またはリスクもしくは不確実性が現実化した場合、実際の成果が、将来に関する記述で述べたものと異なる場合も生じます。
リスクと不確実性には、業界の一般的な状況および競争環境、金利および為替レートの変動などの一般的な経済要因、昨今の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行の影響、医薬品業界の規制やヘルスケア関連の米国法および国際法が及ぼす影響、ヘルスケア費用抑制の世界的な傾向、競合他社による技術的進歩や新製品開発および特許取得、承認申請などの新薬開発特有の問題、Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.による将来の市況予測の正確性、製造上の問題または遅延、国際経済および政府の信用リスクなどの金融不安、画期的製品に対するMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の特許権やその他の保護の有効性への依存、特許訴訟や規制措置の対象となる可能性等がありますが、これらに限定されるものではありません。
Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.は、新たな情報、新たな出来事、その他いかなる状況が加わった場合でも、将来に関する記述の更新を行う義務は負いません。将来に関する記述の記載と大きく異なる成果を招くおそれがあるこの他の要因については、Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.に関するForm 10-Kの2020年度年次報告書および米国証券取引委員会(SEC)のインターネットサイト(www.sec.gov)で入手できるSECに対するその他の書類で確認できます。
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MSDについて
MSD(Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.が米国とカナダ以外の国と地域で事業を行う際に使用している名称)は、130年にわたり、人々の生命を救い、人生を健やかにするというミッションのもと、世界で最も治療が困難な病気のために、革新的な医薬品やワクチンの発見、開発、提供に挑みつづけてきました。MSDはまた、多岐にわたる政策やプログラム、パートナーシップを通じて、患者さんの医療へのアクセスを推進する活動に積極的に取り組んでいます。私たちは、今日、がん、HIVやエボラといった感染症、そして新たな動物の疾病など、人類や動物を脅かしている病気の予防や治療のために、研究開発の最前線に立ち続けています。MSDは世界最高の研究開発型バイオ医薬品企業を目指しています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト(www.msd.co.jp)やFacebook、Twitter、YouTubeをご参照ください。