抗PD-1抗体/抗悪性腫瘍剤「キイトルーダ®」非小細胞肺癌における術前・術後補助療法の適応を取得
August 28, 2024 3:00 pm ET
報道関係各位
MSD株式会社
MSD株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:カイル・タトル、以下 「MSD」)は、本日、抗PD-1抗体「キイトルーダ®(一般名:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え))」について、非小細胞肺癌における術前・術後補助療法の国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得しましたのでお知らせいたします。
肺がんは日本では2019年に約12.7万人が新たに診断され*1、2020年には約7.6万人が死亡しており*2、がんによる死亡原因の第1位となっています。また、肺がんは非小細胞肺がん(NSCLC)と小細胞肺がん(SCLC)に大別されますが、NSCLCが大部分を占め、そのなかには腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんなどが含まれています*3。 NSCLC患者さんには、比較的早期のステージでは治癒を目的とした外科手術が行われていますが、手術を行っても再発する場合もあり、再発を防ぐための新たな治療の選択肢が求められていました。
今回の承認は、臨床病期II期、IIIA期またはIIIB期(T3-4N2*4)の周術期の非小細胞肺がん患者797例(日本人82例を含む)を対象とした、国際共同第3相試験であるKEYNOTE-671試験の結果に基づいています。同試験において、キイトルーダ®と化学療法との併用による術前補助療法と、その後の切除とキイトルーダ®単独療法による術後補助療法は、プラセボと化学療法との併用による術前補助療法と、その後の切除とプラセボによる術後補助療法と比較して、全生存期間(OS)および無イベント生存期間(EFS)を有意に延長しました(OS: HR=0.72 [95% CI, 0.56-0.93]; p=0.00517, EFS: HR=0.58 [95% CI, 0.46-0.72]; p<0.00001)。安全性については、安全性解析対象例396例中383例(96.7%)(日本人39例中39例を含む)に副作用が認められました。主な副作用(20%以上)は、悪心216例(54.5%)、好中球数減少169例(42.7%)、貧血143例(36.1%)、白血球数減少111例(28.0%)、疲労108例(27.3%)、便秘107例(27.0%)および食欲減退92例(23.2%)でした。
MSDは、今後も重点分野と位置付けるがん領域で、これまで以上に患者さんと医療従事者のニーズにお応えできるよう努めてまいります。
キイトルーダ®について
キイトルーダ®は、PD-1に対するヒト化モノクローナル抗体であり、活性化T細胞上のPD-1に結合することにより、がん細胞上のPD-L1及びPD-L2との結合を阻害することで、がん細胞による活性化T細胞の抑制を阻害します。その結果、抑制されていたT細胞が再度がん抗原を認識した際に、再活性化され、がん細胞を排除できるようになります。
キイトルーダ®は、2017年2月15日に国内で販売を開始しました。これまでに「悪性黒色腫」「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」「再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫」「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌」「がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」「腎細胞癌における術後補助療法」「再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌」「根治切除不能な進行・再発の食道癌」「治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」「PD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」「ホルモン受容体陰性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術前・術後薬物療法」「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の子宮体癌」「がん化学療法後に増悪した高い腫瘍遺伝子変異量(TMB-High)を有する進行・再発の固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」「進行又は再発の子宮頸癌」「再発又は難治性の原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫」「治癒切除不能な進行・再発の胃癌」「治癒切除不能な胆道癌」の効能又は効果について承認を取得しています。また、局所進行性または転移性尿路上皮がんに対するパドセブTMとの併用療法、局所進行子宮頸がんに対する同時化学放射線療法との併用療法、進行または再発の子宮体がんに対する化学療法との併用療法、および、切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫について申請中で、卵巣がんなどを対象とした後期臨床試験が進行中です。
*1 国立がん研究センターがん情報サービス がん種別統計情報 肺 全国がん登録罹患データ
*2 国立がん研究センターがん情報サービス がん種別統計情報 肺 人口動態統計データ(死亡率)
*3 国立がん研究センターがん情報サービス 肺がん 非小細胞肺がん 治療
*4 臨床病期はUnion for International Cancer Control(UICC)/American Joint Committee on Cancer(AJCC)病期分類(第8版)に基づく
以上
MSDについて
MSD(Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAが米国とカナダ以外の国と地域で事業を行う際に使用している名称)は、「最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善する」というパーパスのもとに結束し、130年以上にわたり、重要な医薬品やワクチンの開発を通して人類に希望をもたらしてきました。私たちは、世界トップクラスの研究開発型バイオ医薬品企業を目指し、人類や動物の疾患予防や治療に寄与する革新的なヘルスケア・ソリューションを提供するために、研究開発の最前線で活動しています。また、私たちは、多様かつ包括的な職場環境を醸成し、世界中の人々と地域社会に安全で持続可能かつ健康な未来をもたらすため、責任ある経営を日々行っています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト(www.msd.co.jp)やFacebook、Instagram、YouTubeをご参照ください。
参考資料
抗悪性腫瘍剤「キイトルーダ®」