Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A. 2020年度第1四半期決算発表
2020/05/19 00:00 Asia/Tokyo
報道関係各位
MSD株式会社
この参考資料は、Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.が2020年4月28日付(米国東部時間)で発表した2020年度第1四半期決算のプレスリリース
Merck Announces First-Quarter 2020 Financial Results を日本語に翻訳したもので、内容および解釈については英語が優先されます。
以下の医薬品は日本国内で発売しております。カナ表記は括弧内をご参考ください。
BRIDION®(ブリディオン®)、CUBICIN®(キュビシン®)、ESMERON®(エスラックス®)、GARDASIL®(ガーダシル®)、ISENTRESS®(アイセントレス®)、JANUVIA®(ジャヌビア®)、KEYTRUDA®(キイトルーダ®)、Lenvima®(レンビマ®)、Lynparza®(リムパーザ®)、NOXAFIL®(ノクサフィル®)、PNEUMOVAX®(ニューモバックス®)、PREVYMIS®(プレバイミス®)、ROTATEQ®(ロタテック®)、SIVEXTRO®(シベクトロ®)、ZETIA®(ゼチーア®)
参考資料
Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.
2020年度第1四半期決算発表
- 2020年度第1四半期の全世界売上高は、前年同期比11%増の121億ドル(為替の影響を除き13%増)
- KEYTRUDAの売上高は、45%の成長で33億ドル(為替の影響を除き46%の成長)
- ワクチン領域の売上高は、時期的な影響を含み14%の成長で22億ドル(為替の影響を除き16%の成長)
- 2020年度第1四半期のGAAPベースのEPSは1.26ドル、non-GAAPベースでは1.50ドル
- COVID-19に関連する抗ウイルス薬およびワクチンを研究開発中
- COVID-19の影響により、2020年度通期の収益を461億ドル~481億ドルに下方修正(為替のマイナス影響約2.5%を含む)
- COVID-19の影響により、2020年度通期のGAAPベースのEPSレンジを4.12ドル~4.32ドルに下方修正、2020年度通期のnon-GAAPベースのEPSレンジを5.17ドル~5.37ドルに下方修正(為替のマイナス影響約3.5%を含む)
米国ニュージャージー州ケニルワース– Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(米国とカナダ以外ではMSD)は2020年4月28日、2020年度第1四半期の決算を発表しました。
会長兼最高経営責任者(CEO)ケネス・C・フレージャーは、「かつてない困難な状況のなか、第1四半期の業績には、当社の画期的な製品ポートフォリオに対する堅調な需要と継続的なコマーシャル活動および臨床研究活動が反映され、これらは献身的な姿勢と立ち直る力を備えた当社の世界中の従業員に支えられました。当社の事業を担う土台は現在も強固です。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行は、世界中の人々の健康に重大な脅威となり、企業活動や経済活動も危機的な状況であり、私たち全員が乗り越えなければならない問題です。疑いなく確かであるのは、製薬業界と当社は世界がこの流行に対処することを支援する固有の使命と責任を担っており、コロナウイルス感染症に対するソリューションをお届けすべく連携してまいります。また、必要とされる重要な医薬品の供給も継続いたします」と述べています。
決算サマリー
2020年度第1四半期のGAAP(GAAP:一般に公正妥当と認められる会計基準)ベースの希薄化後EPSは1.26ドルでした。2020年度第1四半期のnon-GAAPベースのEPSは1.50ドルで、事業統合・売却関連費用および事業再構築費用を除外しています。
COVID-19に関する最新情報
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行への対応として、当社は社員の安全を確保すること、治療薬およびワクチンの供給を維持すること、科学的専門性により抗ウイルス薬およびワクチンの開発に寄与すること、医療従事者と各コミュニティを支援することに注力しています。さらに、当社は、社会的なアンメットメディカルニーズに対応する新しい治療法の発見および開発に引き続き尽力しています。COVID-19が世界的に流行している状況においても、このようなアンメットニーズは存在し対処する必要があります。COVIDに関連する混乱で患者さんの医療機関へのアクセスには短期的に問題が発生することが予想されますが、当社の製品群に対する必要不可欠な需要と長期的な成長性を確信しています。
COVID-19に関する研究
当社は、抗ウイルス薬およびワクチンに関する経験に基づき、SARS-CoV-2の広範な開発プログラムに着手しました。当社はCOVID-19に関する研究を担う科学者チームを持ち、COVID-19に作用する抗ウイルス薬候補およびワクチン候補の評価を進めています。ワクチンに関しては、価値のあるワクチンの産生に使用した既存のプラットフォームを注意深く選考しています。複数の研究グループと高度なディスカッションを重ね、3種類のウイルスワクチンのプラットフォームに注目しています。これらの共同研究については、必要な手続きが最終決定された段階で詳細情報を発表する予定です。当社はワクチンの探索だけでなく、より迅速に導入可能な抗ウイルス治療候補薬の研究も積極的に進めています。当社が所有する研究所において候補物質を検証しつつ、他の研究所においても有効性が見込まれるプログラムを特定しています。
当社は、COVID-19に対する治療薬およびワクチンの開発を加速させるため、様々な研究機関との共同研究も進めています。当社は、Institute for Systems Biologyとの新規の研究提携を発表しました。SARS-CoV-2感染症およびCOVID-19の分子メカニズムの研究と解明、その治療薬およびワクチンの標的特定に取り組むことが目的です。さらに当社は、NIH主導の「Accelerating COVID-19 Therapeutic Interventions and Vaccines(ACTIVコンソーシアム)」にも参加しています。このパートナーシップは、COVID-19や将来のパンデミックに迅速に対応するため、ワクチンおよび治療候補薬の優先的な開発、臨床試験および規制承認プロセスの効率化、すべてのパートナー間での資源の活用などの協調的なフレームワークを構築することを目指しています。
事業および業績
2020年度第1四半期では、当社の収益に対するCOVID-19の全体的な影響は実質的には少ないものでした。2020年度通期では、COVID-19による収益へのマイナス影響は為替の影響を除き約21億ドル(医薬品部門で約17億ドル、アニマルヘルス部門で約4億ドル)と予想しています。
2020年度第1四半期では、ヒューマンヘルス部門において、中国を含むアジア太平洋地域の市場では、ウイルスの早期流行を考慮し、ソーシャルディスタンス措置および医療機関へのアクセスが減少したことによるマイナス影響が認められました。その一方で、特に欧州などの別の市場では、ソーシャルディスタンス措置を考慮し、医療機関へのアクセスや供給の不安から顧客が備蓄する傾向が認められました。
当社の医薬品部門における収益の約3分の2は医師による処方薬であり、必要不可欠で堅調な需要があるにもかかわらず、COVID-19によるソーシャルディスタンス措置によって健康診断の減少や待機的手術の先送りなどの影響を受けています。これらの影響と医療機関におけるCOVID-19患者の優先性によって、当社の多くのヒューマンヘルス部門製品、特にワクチン、KEYTRUDA(ペムブロリズマブ)、IMPLANON/NEXPLANON(エトノゲストレルインプラント)の使用が減少しています。当社は、今回のパンデミックに関連するアクセス措置が実施されている間、医師による処方薬の需要は低下することを予測しています。また、医療機関の受診や待機的手術の減少によって、BRIDION(スガマデクスナトリウム)などの特定の製品における需要にもマイナス影響が生じる見込みです。
当第1四半期のアニマルヘルス部門における収益は、ソーシャルディスタンス措置の広がりによる不確実性が懸念され、家畜類製品およびBRAVECTO(フルララネル)の確保を目的とした顧客による事前購入が発生したことから、約6,000万ドルのプラス影響が生じました。当社は、獣医師への受診の減少、レストランおよび学校の閉鎖によるタンパク質や牛乳の消費の減少が、将来的にアニマルヘルス部門にマイナス影響を与えるものと予想しています。また、経済における悪影響が、アニマルヘルス部門にさらなるマイナス影響を与える可能性があると考えています。
当第1四半期の営業費用は、約1億ドル減少しました。これは、COVID-19による販売促進費の減少、ならびに臨床プログラムの遅延を主に反映しています。2020年度通期の営業費用も約4億ドルの減少を見込んでいます。
当社は、通常業務に戻る時期については、政府機関の決定に委ねており、今回のアウトブレイクの期間、範囲および重大性の把握が重要な決定要素であると考えていますが、上記の2020年度通期の予測では、第2四半期に主なマイナス影響が発生し、第2四半期の後半にて通常業務に段階的に戻り始め、第3四半期で通常業務が広がり、第4四半期に完全な通常業務に戻ることを想定しています。
当社の財務面における強さや強固なバランスシートによって、研究開発と成長ドライバーへの投資、製造生産量拡大への投資、配当の支払い、価値を向上させる事業開発の継続的な調査を含む資本分配を優先しながら事業を継続することが可能となります。しかし、これらの優先事項と現在の経営環境を踏まえ、当社は自社株買戻しプログラムを一時中断します。
これらの影響を考慮し、当社は2020年ガイダンスを更新しました。
臨床試験
患者さんを第一に考えるという確固たる信念のもと、影響を行けている地域において臨床試験に登録している患者さんが、その治療、適切なケアおよびモニタリングを確実に継続することができるように全力を尽くします。状況は流動的で変化していますが、現場環境で許容される範囲で、実施中の試験において患者登録を進めており、また新規の試験も立ち上げています。
製造および供給
患者さんと顧客への治療薬およびワクチンの供給を維持することは、当社の最優先事項です。現時点において、当社の治療薬およびワクチンの生産および供給にCOVID-19は深刻な影響を及ぼしていません。KEYTRUDAおよびGARDASIL(組み換え沈降4価 [6、11、16、18型] ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン)およびGARDASIL 9(組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン)を含む当社の大部分の製品について、通常の供給レベルが維持されています。また、COVID-19により急速に上昇した市場の需要に対応するため、米国以外の特定の国で挿管処置の際に使用される筋弛緩薬ESMERON(ロクロニウム臭化物)の生産能力は倍増されています。通常、当社のサプライチェーン全体の期間は6カ月から12カ月です。当社は現在、今回のパンデミックが続く間においても治療薬およびワクチンの通常の供給レベルを維持することができると考えています。
施設および社員
当社の製造工場および臨床サプライサイトは十分に稼働しています。また当社の研究施設は重要な業務を集中的に実施しています。事業の継続性を確保するため段階的に業務を推進しています。米国をはじめとする多くの市場において、当社の事業所および研究施設は現在も稼働していますが、従業員は主に自宅で業務に従事しています。中国においても、当社の大部分の事業所、研究施設および工場は稼働していますが、一部の事業所や研究施設の従業員は現在も自宅での業務を継続しています。米国を含む多くの市場において、当社は医療従事者との対面での接触を一時停止しており、現場担当の従業員は自宅で業務に従事しています。
支援活動
治療薬またはワクチンの発見を目的とした研究や、治療薬およびワクチンの供給を維持する取り組みに加えて、当社は、このCOVID-19パンデミックに対処するため、複数の支援活動にも参加しています。製品の寄付、個人用保護具(PPE)の寄付、支援組織(世界保健機関がサポートする国連財団のCOVID-19連帯対応基金、米疾病予防管理センター(CDC)の緊急対応基金等)への資金提供など、さまざまな方法でコミュニティを積極的に支援しています。米国ニューヨーク州とニュージャージー州におけるアウトブレイクに対処するため、緊急措置の一環として、800,000枚のサージカルフェイスマスクを提供しました。回避可能な母体死亡を防ぐためのグローバルイニシアティブ「Merck for Mothers」を通して、妊婦の出産前、出産時および出産後におけるニーズに十分に対応可能な対COVID-19ヘルスシステムの資金を提供します。医師、看護師および臨床検査技師などの医療従事者におけるニーズを把握し、ウイルスが広がっている地域での支援を目的に、医学的なトレーニングを受けた社員が、基本給を維持しながらボランティアとして各コミュニティで支援活動を行う時間を確保することが可能なプログラムを発表しました。また、この危機的な状況において、米国で職や保険を失った患者さんをサポートする複数の制度も用意しています。Merck Patient Assistance Programでは、米国において対象の患者さんには無償で当社の医薬品を引き続き使用することが可能です。これには、リアルタイムでの財政状況の査定や追加の登録支援の提供が含まれます。さらに、COVID-19パンデミックのために米国のアクセスプログラムや支援プログラムへの変更がなされています。当社は引き続き、各コミュニティへのサポート、国や地域における支援活動を可能な限り模索しています。
オンコロジーパイプラインハイライト
当社は、抗PD-1抗体KEYTRUDA、アストラゼネカ社との共同開発・商業化を進めるPARP阻害剤Lynparza(オラパリブ)、およびエーザイ社と共同開発・商業化を進める経口チロシンキナーゼ阻害剤Lenvima(レンバチニブメシル酸塩)の開発プログラムを引き続き進展させました。このほかの主な開発品も含めたハイライトは以下のとおりです:
- KEYTRUDAと化学療法との併用療法を評価するピボタル第3相KEYNOTE-355試験で、腫瘍にPD-L1発現の認められる(Combined Positive Score[CPS]≧10)転移性トリプルネガティブ乳がん(mTNBC)患者において、本試験の二つの主要評価項目の一つである無増悪生存期間(PFS)を達成したことを発表。本試験では、もう一つの主要評価項目である全生存期間(OS)についても評価を継続。
- KEYTRUDAを評価する第3相KEYNOTE-204試験で、再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫(cHL)の成人患者において、本試験の二つの主要評価項目の一つであるPFSを達成したことを発表。もう一つの主要評価項目であるOSについては、事前に設定された解析計画に従い今回の中間解析では正式な分析は実施せず、評価を継続。
- マイクロサテライト不安定性(MSI-High)またはミスマッチ修復機能欠損(dMMR)の切除不能な進行・再発大腸がんの初回治療においてKEYTRUDAを評価する第3相試験KEYNOTE-177で、本試験の二つの主要評価項目の一つであるPFSを達成したことを発表。本試験では、もう一つの主要評価項目であるOSについても評価を継続。
- KEYTRUDAの新たな生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)が米国食品医薬品局(FDA)によって受理され、優先審査項目に指定されたことを発表。この申請では、治療後に進行し、他に十分な治療選択肢のない、腫瘍遺伝子変異量高値(TMB-High、10変異/megabase以上)の切除不能または転移を有する固形がんの患者に対する単独療法としてKEYTRUDAの迅速承認を目指す。今回の申請は、第2相試験KEYNOTE-158の結果などに基づく。FDAにより、処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)に基づく審査終了目標日は2020年6月16日に指定。
- 現在承認されている3週間ごとに200 mg の投与(Q3W)に加えて、6週間ごとの30分間点滴静注400 mg投与(Q6W)スケジュールを追加するKEYTRUDA の投与頻度変更に関するsBLAをFDAに再提出したことを発表。このsBLAは、単独療法および併用療法を含めKEYTRUDAのすべての成人の適応症に対して申請された。
- Samsung Bioepisとの開発および商品化に関する契約の一環として、基準の生物学的製剤であるハーセプチンのバイオシミラー、ONTRUZANT(トラスツズマブ-dttb)の米国での上市を発表。
- 当社とアストラゼネカ社は、相同組換え修復遺伝子変異(HRRm)を有し、新規ホルモン薬(NHA、エンザルタミドまたはアビラテロンなど)による前治療中に疾患進行が認められた転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)の男性患者を対象にLynparzaを評価した第3相PROfound試験の良好な結果を発表。本試験の結果は、BRCA1/2またはATM遺伝子変異で選択されたmCRPCを有する男性患者を対象として、Lynparzaとエンザルタミドまたはアビラテロンを比較した重要な副次評価項目のOSにおいて、統計学的に有意で臨床的に重要な改善を示す。
- 当社とアストラゼネカ社は、FDAがキナーゼ阻害剤であるKOSELUGO(セルメチニブ)を、神経線維腫症に関連する症候性・手術不能な叢状神経線維腫を有する2歳以上の小児の神経線維腫症I型(NF1)を適応症とする治療薬として承認したことを発表。
- 当社とアストラゼネカ社は、プラチナ製剤感受性の再発卵巣がん患者を対象として、経口薬として開発中の血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)阻害剤cediranibとLynparzaとの併用療法と、プラチナ製剤ベースの化学療法とを比較した第3相GY004試験において、主要評価項目のPFSを達成しなかったことを発表。
その他のパイプラインハイライト
- ザイールエボラウイルスによるエボラウイルス疾患を予防するためのワクチン、ERVEBO(エボラザイールウイルス、生ワクチン)に関して、6カ国のアフリカ諸国(コンゴ民主共和国(DRC)、ブルンジ、ガーナ、ギニア、ルワンダ、ザンビア)にて各保健当局が登録したことを発表。さらに近い将来、上記以外のアフリカ諸国においても承認を取得する予定。
- 駆出率が低下し増悪した心不全患者の治療を目的に、バイエル社と共同開発中の可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬であるvericiguatの有効性と安全性を評価する第3相VICTORIA試験の結果を発表。世界心臓学会議と共同開催の米国心臓病学会の年次科学セッション(バーチャルミーティング)にて結果は発表され、同時にNew England Journal of Medicine誌にも発表。
- 難治性または原因不明の慢性咳嗽の治療薬として開発中の経口投与のP2X3受容体選択的阻害剤gefapixantの有効性と安全性を評価するピボタル第3相試験(COUGH-1およびCOUGH-2)において、gefapixant 45 mgを1日2回投与した群で主要有効性評価項目を達成したことを発表。いずれの第3相試験においてもgefapixant 15 mgを1日2回投与した群では主要有効性評価項目は未達成。
- 当社とファイザー社は、2型糖尿病と確定されたアテローム動脈硬化性心血管疾患を併発した患者を対象に、経口のナトリウム/グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害剤のSTEGLATRO(ertugliflozin)による第3相VERTIS CV(心血管)アウトカム試験において、主要評価項目としてプラセボと比較した主要有害心血管イベント(MACE)の非劣性を確認(MACEは、心血管死亡、非致死性心筋梗塞、または非致死性脳卒中の初回イベントまでの時間と定義)。STEGLATROとプラセボを比較し、心不全による心血管死亡または入院の複合項目、心血管死亡単独、および腎死、透析/移植、ベースライン時からの血清クレアチニン値の倍化の複合項目までの時間の優位性を検討した重要な副次評価項目は未達成。統計学的な検討として事前に設定された仮定ではないが、心不全による入院の減少がSTEGLATROの投与で認められ、STEGLATROの安全性プロファイルは、過去に実施された試験の報告と一致。VERTIS CV試験の詳細な結果は、2020年6月16日に開催される米国糖尿病協会の第80回科学セッション(バーチャルミーティング)にて発表される予定。
事業開発ハイライト
- 婦人科領域(ウィメンズ・ヘルス)、顧客からの信頼を獲得している長期ブランド製品群およびバイオシミラー事業の分社化にあたり、新会社の名称がOrganon & Co.(Organon)となることを発表。当社は現在も、この分社化に全力を注ぎ、2021年の前半に完了する予定。
- ニュージャージーキャンパスをニュージャージー本部(Rahway)に2023年末までに統合することを発表。
2020年度第1四半期の業績
以下の表は当社の医薬品の売上高上位製品およびアニマルヘルス製品の売上高総額を表しています。
医薬品の業績
2020年度第1四半期の医薬品売上高は、10%増の107億ドルとなりました(為替のマイナス影響を除き12%の成長)。この増加は主に、オンコロジー領域およびワクチン領域の成長によるもので、複数の製品における特許切れが及ぼす継続的な影響により一部相殺されました。
オンコロジー領域の売上高増加は、主にKEYTRUDAの売上高33億ドルによるもので(45%の成長)、非小細胞肺がん(NSCLC)の適応における力強い進展と、腎細胞がん(RCC)および悪性黒色腫の術後補助療法を含む継続的な適応症追加を反映しています。さらにオンコロジー領域の売上高は、Lynparzaに関連する提携収益1億4,500万ドルおよびLenvimaに関連する提携収益1億2,800万ドルを反映しています。これらは、製品売上高から売上原価および販売費用を控除後の当社に帰属する分配利益を表しています。
2020年度第1四半期のワクチン領域の成長は、GARDASIL/GARDASIL 9の売上高増加によるもので、中国における出荷タイミング(約1億2,000万ドル)、米国における公的機関による購入時期の影響(約7,000万ドル)、中国と欧州における高い需要および米国における価格設定を反映していますが、特定の市場(特に米国および香港)におけるCOVID-19のマイナス影響により一部相殺されました。
またワクチン領域の成長は、肺炎球菌感染症を予防するワクチンであるPNEUMOVAX 23(多価肺炎球菌ワクチン)にけん引され、主にCOVID-19パンデミックによる米国および欧州の高い需要を反映しています。
ワクチン領域の成長は、小児用ワクチンであるVARIVAX(水痘ワクチン)、M-M-R II(麻しん-おたふくかぜ-風しん混合ワクチン)の売上高減少により一部相殺され、これは主に中南米の低い需要と政府入札の時期を反映しています。以前に発表したとおり、当社は、2020年度通期のVARIVAXの売上高は前年よりも減少することを予想しています。これは、特定の中南米の市場におけると政府入札の時期を一部反映しています。また、2020年度通期のM-M-R IIの米国での売上高も前年よりも減少することを予想しています。これは、麻しんのアウトブレイクが減少したことに関連し、需要予測が減少したことを反映しています。
急性期治療・病院領域の業績は、世界的な需要の増加を反映しており、特に外科手術処置時の成人患者を対象とした筋弛緩薬ロクロニウム臭化物またはベクロニウム臭化物の回復剤であるBRIDIONの米国における需要、ならびにサイトメガロウイルス(CMV)抗体陽性の成人同種造血幹細胞移植患者を対象に、CMV感染または感染症の予防を目的とした抗ウイルス薬PREVYMIS(レテルモビル)の発売が影響していますが、COVID-19に起因する待機的手術の減少によって、急性期治療・病院領域の業績はマイナス影響を受けると予想しています。
当四半期の医薬品売上高の増加は、NUVARING(エトノゲストレル/エチニルエストラジオール腟リング)、NOXAFIL(ポサコナゾール)、EMEND(アプレピタント)、VYTORIN(エゼチミブ/シンバスタチン)、CUBICIN(ダプトマイシン)およびREMICADE(インフリキシマブ)の特許切れが引き続き影響し、一部相殺されました。さらに、JANUVIA(シタグリプチン)とJANUMET(シタグリプチン/メトホルミン)の売上高減少は、米国における継続的な価格抑制の影響を反映しています。
アニマルヘルスの業績
アニマルヘルスの2020年度第1四半期の全世界での売上高は、前年同期比で18%増の12億ドルでした(為替のマイナス影響を除き、アニマルヘルスの売上高は21%増)。家畜類製品の成長は、前年のAntelliq Corporationの買収で得た製品が寄与しました。また、上記のCOVID-19に関連する積極的な購入も反映しています。コンパニオンアニマル関連製品の成長は、主に寄生虫予防薬BRAVECTOの需要にけん引されました。
これもCOVID-19に関連する積極的な購入を一部反映しています。
2020年度第1四半期の費用、EPSおよび関連情報
以下の表は、費用に関する抜粋情報を表しています。
GAAPベースの費用、EPSおよび関連情報
GAAPベースでは、2020年度第1四半期の売上高総利益率は72.5%で、2019年度第1四半期では71.8%でした。2020年度第1四半期における売上高総利益率の増加は、プロダクト・ミックスのプラス影響および事業統合・売却関連費用の減少を反映していますが、ロイヤリティー、製造に関する不利差異、価格抑制、棚卸資産評価損、外国為替および事業再構築費用のマイナス影響により一部相殺されました。
2020年度第1四半期の販売費および一般管理費は、前年同期比で5%増の26億ドルでした。この増加は、事業統合・売却関連費用の増加(Organonの分社化計画に関連する費用を含む)を主に反映していますが、販売促進および一般管理費の減少により一部相殺されました。これは、COVID-19パンデミックおよびに為替のプラス影響を一部反映しています。
2020年度第1四半期の研究開発費は22億ドルで、2019年度第1四半期の14%増となりました。この増加は、臨床開発に関連する費用の増加、開発候補品の発見と初期の医薬品開発への投資の増加およびライセンシング費の増加を主に反映していますが、COVID-19パンデミックによるプログラムおよびプロジェクトの遅延、移動およびミーティングの減少により一部相殺されました。
2020年度第1四半期のその他の費用(収益)純額は、2019度第1四半期の1億8,800万ドルの費用に対し7,100万ドルの費用を計上しました。2020年度第1四半期のその他の費用(収益)純額は、2019年度の損失と比較して2020年度における株式の投資による収益と減損損失の減少を主に反映していますが、2020年度における正味支払利息の増加により一部相殺されました。
2020年度第1四半期の実効税率は16.1%となりました。
2020年度第1四半期のGAAPベースのEPSは1.26ドル、2019年度第1四半期では1.12ドルでした。
non-GAAPベースの費用、EPSおよび関連情報
non-GAAPベースでは、2020年度第1四半期の売上高総利益率は75.5%で、2019年度第1四半期では75.9%でした。2020年度第1四半期のnon-GAAPベースの売上高総利益率の減少は、ロイヤリティー、製造に関する不利差異、価格抑制、棚卸資産評価損および外国為替のマイナス影響を反映していますが、プロダクト・ミックスのプラス影響により一部相殺されました。
2020年度第1四半期のnon-GAAPベースの販売費および一般管理費は、前年同期比で7%減の23億ドルでした。この減少は、主に販売促進および一般管理費の減少によるものですが、これは、COVID-19パンデミックおよびに為替のプラス影響を一部反映しています。
2020年度第1四半期のnon-GAAPベースの研究開発費は、前年同期比で10%増の22億ドルでした。この増加は、臨床開発に関連する費用の増加、開発候補品の発見と初期の医薬品開発への投資の増加およびライセンシング費の増加を主に反映していますが、COVID-19パンデミックによるプログラムおよびプロジェクトの遅延、移動およびミーティングの減少により一部相殺されました。
non-GAAPベースでの2020年度第1四半期のその他の費用(収益)純額は、2019年度第1四半期の2,100万ドルの費用に対し8,200万ドルの費用を計上しました。non-GAAPベースでの2020年度第1四半期のその他の費用(収益)純額は、正味支払利息の増加を主に反映していますが、2019年度の損失と比較して2020年度における株式の投資による収益により一部相殺されました。
2020年度第1四半期のnon-GAAPベースの実効税率は17.0%となりました。
2020年度第1四半期のnon-GAAPベースのEPSは1.50ドル、2019年度第1四半期では1.22ドルでした。
当期純利益およびEPSのGAAPベースからnon-GAAPベースへの調整は、以下の表のとおりです。
業績見通し
当社は、以下のように通期のガイダンスを更新しました。これには、COVID-19パンデミックによる影響および為替のマイナス影響が含まれますが、必要不可欠で堅調な事業であることの優位性により一部相殺されると予想しています。当社は、通常業務に戻る時期については、政府機関の決定に委ねており、今回のアウトブレイクの期間、範囲および重大性の把握が重要な決定要素であると考えていますが、2020年度通期のガイダンス予測では、第2四半期に主なマイナス影響が発生し、第2四半期の後半にて通常業務に段階的に戻り始め、第3四半期で通常業務が広がり、第4四半期に完全な通常業務に戻ることを想定しています。
2020年4月中旬の為替を基準として、為替のマイナス影響約2.5%を含み、2020年度通期の収益を461億ドル~481億ドルに下方修正しました。
2020年度通期のGAAPベースのEPSレンジを4.12ドル~4.32ドルと予想しています。2020年度通期のnon-GAAPベースのEPSレンジを、2020年4月中旬の為替を基準として、為替によるマイナス影響約3.5%を含み、5.17ドル~5.37ドルと予想しています。このnon-GAAPベースEPSレンジは、事業統合・売却関連費用および事業再構築計画関連費用を除外しています。
以下の表は、当社の2020年の業績ガイダンスの要約を表しています。
2020年度のGAAPベースの予想EPSからnon-GAAPベースのEPSへの調整、およびnon-GAAPベースのEPSからの削除項目は以下の表のとおりです。
Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.について
Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A. (米国とカナダ以外ではMSD)は、125年以上にわたり、人々の生命を救い、人生を健やかにするというミッションのもと、世界で最も治療が困難な病気のために、革新的な医薬品やワクチンの発見、開発、提供に挑みつづけてきました。MSDはまた、多岐にわたる政策やプログラム、パートナーシップを通じて、患者さんの医療へのアクセスを推進する活動に積極的に取り組んでいます。私たちは、今日、がん、HIVやエボラといった感染症、そして新たな動物の疾病など、人類や動物を脅かしている病気の予防や治療のために、研究開発の最前線に立ち続けています。MSDは世界最高の研究開発型バイオ医薬品企業を目指しています。詳細については当社ウェブサイトやMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の Twitter 、 Facebook 、 Instagram 、 YouTube および、 Linkedln をご参照ください。
Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の将来に関する記述
Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(以下、当社)発行のこのニュースリリースには、米国の1995年私的証券訴訟改革法(the Private Securities Litigation Reform Act of 1995)の免責条項で定義された「将来に関する記述」が含まれています。これらの記述は、当社の経営陣の現時点での信条と期待に基づくもので、相当のリスクと不確実性が含まれています。新薬パイプラインに対する承認取得またはその製品化による収益を保証するものではありません。予測が正確性に欠けていた場合またはリスクもしくは不確実性が現実化した場合、実際の成果が、将来に関する記述で述べたものと異なる場合も生じます。
リスクと不確実性には、業界の一般的な状況および競争環境、金利および為替レートの変動などの一般的な経済要因、昨今の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行の影響、医薬品業界の規制やヘルスケア関連の米国法および国際法が及ぼす影響、ヘルスケア費用抑制の世界的な傾向、競合他社による技術的進歩や新製品開発および特許取得、承認申請などの新薬開発特有の問題、当社による将来の市況予測の正確性、製造上の問題または遅延、国際経済および政府の信用リスクなどの金融不安、画期的製品に対する当社の特許権やその他の保護の有効性への依存、特許訴訟や規制措置の対象となる可能性等がありますが、これらに限定されるものではありません。
当社は、新たな情報、新たな出来事、その他いかなる状況が加わった場合でも、将来に関する記述の更新を行う義務は負いません。将来に関する記述の記載と大きく異なる成果を招くおそれがあるこの他の要因については、当社に関するForm 10-Kの2019年度年次報告書およびSECのインターネットサイト( www.sec.gov)で入手できる米国証券取引委員会(SEC)に対するこの他の書類で確認できます。
1 Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.に帰属する当期純利益
2 Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.は、事業業績や傾向に関する分析への特定項目の性質による影響を考慮し、2020年度および2019年度の特定の項目の影響を除いたnon-GAAPベースの情報を提供しています。経営陣は、この情報が会社の決算結果および経営陣による業績評価方法に関する投資家の理解を深めるものと考えています。経営陣は、これらの指標を目標の設定や達成予測のため、またその他の基準で当社の業績を評価するために社内的に活用します。上級管理職の年間報酬の一部はnon-GAAPベースの収益およびnon-GAAPベースのEPSから支払われています。これはGAAPに基づき算出された情報に関する追加情報であって、その代わりとなるものではなく、また優先されるものでもありません。これらの項目についての詳細は、本報告書に添付された表2a(脚注を含む)を参照してください。
3 統合、取引および事業統合・売却に関するその他の費用と共に、買収の結果認識された無形資産の償却費および棚卸資産に対するパーチェス法適用に伴う調整額、無形資産の減損損失、および、条件付対価による負債の公正価値測定の見積り変更に関連する費用または収益が含まれます。
4 調整項目に対する見積法人税の影響が含まれます。さらに2019年度の金額には、特定の連邦所得税問題の解決に関連した3億6,000万ドルの法人税額の減少およびTax Cuts and Jobs Act(2017)の米国財務省規則の最終決定に伴う課税額6,700万ドルが含まれます。
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MSDについて
MSD(Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.が米国とカナダ以外の国と地域で事業を行う際に使用している名称)は、125年以上にわたり、人々の生命を救い、人生を健やかにするというミッションのもと、世界で最も治療が困難な病気のために、革新的な医薬品やワクチンの発見、開発、提供に挑みつづけてきました。MSDはまた、多岐にわたる政策やプログラム、パートナーシップを通じて、患者さんの医療へのアクセスを推進する活動に積極的に取り組んでいます。私たちは、今日、がん、HIVやエボラといった感染症、そして新たな動物の疾病など、人類や動物を脅かしている病気の予防や治療のために、研究開発の最前線に立ち続けています。MSDは世界最高の研究開発型バイオ医薬品企業を目指しています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト( www.msd.co.jp)や Facebook 、 Twitter 、 YouTube をご参照ください。