アクチビンシグナル伝達阻害剤「ソタテルセプト」肺動脈性肺高血圧症治療薬としての承認を申請
2024/11/14 15:00 Asia/Tokyo
報道関係各位
MSD株式会社
MSD株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:カイル・タトル、以下 「MSD」)は、本日、
アクチビンシグナル伝達阻害剤「ソタテルセプト(遺伝子組換え)」について、肺動脈性肺高血圧症(PAH)の治療薬として製造販売承認申請を行いましたのでお知らせいたします。
肺高血圧症は、心臓から肺に血液を送る血管である肺動脈の血液の流れが悪くなることで肺動脈の血圧が高くなる病気です。肺動脈の血圧が高くなると、心臓の右心室にも負担がかかり、やがて右心不全が進みます。肺高血圧症を治療せずに放置すると、数年以内に命を落としてしまうこともあります。PAHは、
その肺高血圧症の一種で、肺の細い血管が狭くなることにより発症します。PAHは、厚生労働省の指定難病(難治性呼吸器疾患)に認定されており、日本国内の患者数は4,529名(令和4年度)で、近年増加傾向にあります*1。
今回の申請は、標準的なバックグラウンド療法を受けているPAHの成人患者(WHO機能分類クラスIIおよびIII)を対象とした、海外で実施された第3相試験(STELLAR試験)および国内第3相試験等の結果に基づいています。STELLAR試験では、ソタテルセプトをPAHのバックグラウンド療法に追加することで、PAHのバックグラウンド療法のみの場合と比較して優れた臨床的ベネフィットが示されました。また、国内第3相試験では、日本人のPAH患者を対象に非盲検下でソタテルセプトをPAHのバックグラウンド療法に追加した際の有効性および安全性を確認しました。
MSDは、肺高血圧症患者さんとご家族に寄り添い、よりよい未来に貢献できるよう、肺高血圧症治療薬の提供および開発に全力で取り組んでまいります。
ソタテルセプトについて
ソタテルセプトは、肺動脈性肺高血圧症(PAH、WHO Group 1)の治療薬として開発中のアクチビンシグナル伝達阻害剤です。血管構成細胞の増殖を促進するシグナル伝達経路に関わるアクチビンを捕捉することで、血管構成細胞の増殖を抑制するシグナル伝達経路とのバランスを改善します。これにより、血管構成細胞の増殖を制御し、血流を改善します。非臨床モデルでは、これらの細胞に対する作用により、血管壁厚の減少、部分的な右室のリバースリモデリング、並びに血行動態の改善が認められました。
ソタテルセプトは、2024年3月に米国食品医薬品局(FDA)からPAHの成人患者さんに対する治療薬として承認を取得しました。同年8月には欧州委員会(EC)からPAHの成人患者さん(WHO機能分類クラスIIおよびIII)に対する治療薬として承認を取得しました。日本では、2024年3月21日に厚生労働省より「予定される効能又は効果:肺動脈性肺高血圧症」として希少疾病用医薬品(優先審査該当)の指定を受け、開発を進めています。
*1: 難病情報センターホームページ(2024年11月現在)から引用
以上
MSDについて
MSD(Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAが米国とカナダ以外の国と地域で事業を行う際に使用している名称)は、「最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善する」というパーパスのもとに結束し、130年以上にわたり、重要な医薬品やワクチンの開発を通して人類に希望をもたらしてきました。私たちは、世界トップクラスの研究開発型バイオ医薬品企業を目指し、人類や動物の疾患予防や治療に寄与する革新的なヘルスケア・ソリューションを提供するために、研究開発の最前線で活動しています。また、私たちは、多様かつ包括的な職場環境を醸成し、世界中の人々と地域社会に安全で持続可能かつ健康な未来をもたらすため、責任ある経営を日々行っています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト(www.msd.co.jp)やFacebook、Instagram、YouTubeをご参照ください。