経口低酸素誘導因子2アルファ(HIF-2α)阻害剤ベルズチファン フォン・ヒッペル・リンドウ(VHL)病に関連する腫瘍の治療薬として承認を申請

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2024/09/17 15:01 Asia/Tokyo

報道関係各位

MSD株式会社

MSD株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:カイル・タトル、以下 「MSD」)は、本日、経口低酸素誘導因子2アルファ(HIF-2α)阻害剤ベルズチファンについて、フォン・ヒッペル・リンドウ(VHL)病に関連する腫瘍の治療薬として、製造販売承認申請を行いましたのでお知らせいたします。

VHL病は、VHL遺伝子の変異によって腫瘍が引き起こされる難治性の希少疾患で、日本の推定患者数は600~1,000人です*1。発生する主な腫瘍は、中枢神経系(小脳、延髄、脊髄)血管芽腫、網膜血管腫、腎細胞がん(RCC)、腎嚢胞、褐色細胞腫、膵神経内分泌腫瘍、膵嚢胞、精巣上体嚢胞腺腫、子宮広間膜嚢胞腺腫、内リンパ嚢腫瘍で、いずれも若年で発症し、複数の部位に同時に発生する(多発性)、生涯にわたって発症を繰り返す(再発性)という特徴があります*2-5。腫瘍の発生部位によって、多血症、高血圧、視力障害、運動障害、膀胱直腸障害、腎不全、不妊症などの合併症が現れることがあります。治療方法には腫瘍の摘出手術や放射線治療などがありますが、手術の侵襲に伴う障害が発生する場合や頻回の手術が必要になる場合があることなど、患者さんのQOLへの影響は大きく、新たな治療法が望まれています*1,2

ベルズチファンは2024年2月9日に、「予定される効能又は効果:フォン・ヒッペル・リンドウ(VHL)病関連の腫瘍性病変」として厚生労働省より開発中の希少疾病用医薬品の指定を受けています。

MSDは、難治性疾患や希少疾患の患者さんのニーズにお応えできるよう、革新的な医薬品の開発を進めてまいります。

 

ベルズチファンについて

ベルズチファンは、経口投与可能なファーストインクラスの低分子HIF-2α阻害剤です。がん細胞においてVHL蛋白質の機能が喪失している状態において、ベルズチファンは、HIF-2αとHIF-1βのヘテロ二量体形成を選択的に阻害します。その結果、血管新生、増殖および腫瘍代謝に関連する低酸素下で誘導される遺伝子の転写を阻害することで抗腫瘍効果を示します。現在、根治切除不能又は転移性の腎細胞がん(RCC)の治療薬として申請中です。

*1 国立研究開発法人 国立成育医療研究センター内 小児慢性特定疾病情報センター「フォンヒッペル・リンドウ(von Hippel-Lindau)病」
*2 フォン・ヒッペル・リンドウ病における実態調査・診療体制構築とQOL向上のための総合的研究班「フォン・ヒッペル・リンドウ病診療の手引き(2024年版)」
*3 Maher ER, Kaelin WG, Jr. von Hippel-Lindau disease. Medicine. 1997;76(6):381-391.
*4 Lonser RR, Glenn GM, Walther M, et al. von Hippel-Lindau disease. Lancet. 2003;361 (9374):2059-2067.
*5 Maher ER, Neumann HP, Richard S. von Hippel-Lindau disease: a clinical and scientific review. Eur J Hum Genet. 2011;19(6):617-623.

 

以上

 

MSDについて

MSD(Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAが米国とカナダ以外の国と地域で事業を行う際に使用している名称)は、「最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善する」というパーパスのもとに結束し、130年以上にわたり、重要な医薬品やワクチンの開発を通して人類に希望をもたらしてきました。私たちは、世界トップクラスの研究開発型バイオ医薬品企業を目指し、人類や動物の疾患予防や治療に寄与する革新的なヘルスケア・ソリューションを提供するために、研究開発の最前線で活動しています。また、私たちは、多様かつ包括的な職場環境を醸成し、世界中の人々と地域社会に、安全で持続可能かつ健康な未来をもたらすため、責任ある経営を日々行っています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト(www.msd.co.jp)やFacebookInstagramYouTubeをご参照ください。