“生産性が高く、多様な人材が輝くための働き方”とは
MSD社員ネットワーク「Women’s Network」主催イベント
掲載日:2024年9月3日
MSDでは、働きがいのある職場を実現するため、部門の垣根を越えて、共通のテーマに関心を持つ社員が自主的にネットワークを組織し活動しています。現在、7つの「社員ネットワーク」があり、会社に対して発展的な提言を行うなど職場環境づくりに主体的に取り組むとともに、社員同士の交流の場にもなっています。
今回は、MSDの社員ネットワークの中でも最大規模の「Women’s Network」の取り組みをご紹介します。このネットワークは、「ビジネスへの貢献に向けて、ジェンダーに関わらずすべての個人がリーダーシップを発揮できる文化の醸成をサポートする」というミッションのもと、さまざまな活動を行っています。Women’s Networkの主要な取り組みの一つが毎年3月8日に設定されている「国際女性デー」です。2024年の今年は、全社員を対象に「国際女性Day記念イベント」として、「業績とエンゲージメントを上げる働き方改革!~生産性が高く、多様な人材が輝く組織へ~」と題した社内イベントを企画しました。
医師の働き方改革など、製薬業界を取り巻く環境が変化する中、MSDをはじめとする製薬企業においても、社員一人ひとりが効率的な業務遂行に向けて働き方を見直す時機を迎えている中、ワーク・ライフバランスの専門コンサルタントとして知られる小室淑恵さんをスペシャルゲストとしてお迎えしました。
第1部の講演会では、すぐに実践できる働き方改革のポイントを具体例とともにお話しいただき、第2部のパネルディスカッションでは、MSD社員の組織づくりにおける考えや取り組みに対し専門家の立場からコメントをいただきました。当日は、多くの社員が参加し、関心の高さがうかがえるイベントとなりました。ここでは、当日のパネルディスカッションの内容をお伝えします。
【講師・モデレーター】
株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長
小室淑恵さん
2006年、株式会社ワーク・ライフバランスを設立。自らも2児の母として子育てをしながら、効率よく短時間で成果を上げる働き方を実践。会社としても、全社員が残業ゼロ、有給取得100%を実現しながら増収増益を達成し続けている。
【パネリスト】
MSD株式会社
白沢博満さん:代表取締役上級副社長 グローバル研究開発本部長
大西裕絵さん:HPVワクチンプライベートマーケティンググループ グループリード
板東大介さん:オンコロジー営業部門統括
効率化を通じてゆとりが生じた時こそ、チームのエンゲージメント向上の好機
小室 淑恵さん(以下、小室):ご自身、あるいは部下のエンゲージメントを高めるために取り組んでいることについてお聞かせください。
白沢 博満さん(以下、白沢):MSDのような製薬企業で働くことは、患者さんやご家族、医療従事者の方々、ひいては社会に対して意義のある事業に参画することであるため、社員のエンゲージメントは高いと思います。
ただ、日々の業務に追われて、なんのために仕事をしているのかを見失ってしまうこともあるでしょう。チームをマネジメントする立場として、私は常日頃から、自分たちが行う仕事の意義を意識して伝えること、そして業務の見直しによって自身の働き方を改善し、業務効率化につなげていくことが大切だと考えています。
小室:上司自身がビジョンをしっかり描いて、業務をその意図とともに部下に手渡すことができれば、上司に時間的なゆとりが生まれます。社員のエンゲージメント向上のためには、マネジメント側の業務を効率化していくこともポイントですね。
一人ひとりの働き方や強みを尊重するマネジメントがエンゲージメント向上のカギ
大西 裕絵さん(以下、大西):私は妊娠・出産を機に、業務は効率化して早く終わらせ、残った時間を将来のためにもクリエイティブなことに使っていくというスタイルに変えていきました。
私が所属するチームは「今までとは全然違う分野にチャレンジする」というミッションがあり、いわばスタートアップのような動き方をしています。メンバーには、均質な能力を求めるのではなく、個々の強みを活かしてもらうことで、総合的に強いチームを目指しています。
それぞれのライフスタイルや価値観を尊重し、理解しながらチームビルディングしていくことがエンゲージメント向上に繋がると考えています。
小室:まさに、一人ひとりの個性を尊重したマネジメントが今求められています。例えば、一見事情がなさそうに見えても、お子さんの不登校や、自分の病気の治療など目で見て分からないライフがそれぞれにあります。
すべての人に「ライフ」はあるのだということを前提に、全社員を対象にして、働き方そのものを変えていくのが望ましいですね。
男性管理職が多い部署だからこそ女性の心身の課題について学ぶ取り組みを実施
板東 大介さん(以下、板東):私が所属する部署は規模がかなり大きいのですが、男性社員が大半を占めているということもあり、女性社員が意見しにくい空気が醸成されてしまうことが懸念でした。
そこで女性のライフステージの変化やそれに伴うさまざまな心身の課題を理解した上でチームビルディングをすることが必要だと考え、部門内で女性社員の想いや悩み、声を聞いて環境を変えていく取り組みを進めることにしたのです。
具体的には2023年秋、私も含めた営業管理職全員が、「女性の健康検定」を受検しました。まだまだ道半ばではありますが、管理職層が多様な社員の声を聞き、理解していく取り組みは今後も継続していきます。
小室:女性のライフステージごとの心身の課題を理解し、管理職の方々が率先して変わろうという実践はぜひ継続していただきたいですね。
医師の働き方改革が進む今こそ、組織の働き方を改革するチャンス
小室:医師の働き方改革など製薬業界を取り巻く環境の変化に関しても伺いたいと思います。MSDにおける働き方にも変化が生じつつある中、今後とっていくべきアクションについてお聞かせください。
大西:私の部署は部門横断的に仕事をすることが多いのですが、異なる考えを持つ人たちが集まる中でも、チームとしてポジティブな雰囲気をつくっていきたいと考えています。「なぜこれを主張しているんだろう」「なぜこの仕事の依頼は受け入れられないのだろう」と、相手の視点を知る機会にもなります。視点の違いから、さらなるコミュニケーションの橋を架けていきたいですね。
小室:私たちがコンサルテーションした病院での最初の一歩は「みんなでカフェに行く」でした。普段あまりに忙しすぎて対話の時間もなく、チームメンバーのキャリアや得意分野を知る機会も持てていなかったんですね。それを機に、専門分野に応じた業務の割り振りをして助け合えるようになり、チームとしての生産性が向上しました。相互理解は仕事の成果も高めることが示された好例だと思います。
板東:医師の働き方が急速に変化していっている今のタイミングは、組織として働き方を変えていくチャンスと捉えるべきでしょう。必要な仕事を、所定の時間内で積み上げていくことが、基本であり大事なことかなと。チーム全体で、ワクワク感をもってチャレンジしていきたいですね。
白沢:私自身、病院に所属していた経歴もあり、医師の働き方改革については注視しています。医療現場が変わっていく中、今までは受け入れられなかった新たなツールを使用したコミュニケーションも積極的に実践していく良い機会だと捉えています。
小室:現在はITツールも進化しており、数年前には難しかったことも今なら実現できるケースもあります。改革を進めていく上では困難が伴うかもしれませんが、そんな時こそ幹部が率先してコミットを示していくことで変えていけるのでないでしょうか。
小室さんのご講演、そして社員参加の活気あふれるパネルディスカッションで、イベントは盛況のうちに幕を閉じました。MSDでは、これからもDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)に注力し、社員一人ひとりがそれぞれの強みを最大限に発揮できる職場環境を醸成していくことを通じて、ミッションの実現を目指してまいります。
(※役職と内容は取材当時のものです)