抗PD-1抗体/抗悪性腫瘍剤「キイトルーダ®」新たな二つの適応を取得-治癒切除不能な進行・再発の胃癌に対する化学療法との併用療法--治癒切除不能な胆道癌に対する化学療法との併用療法-

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May 17, 2024 3:00 pm ET

報道関係各位

MSD株式会社

MSD株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:カイル・タトル、以下 「MSD」)は、本日、抗PD-1抗体「キイトルーダ®(一般名:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え))」について、以下に関する国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得しましたのでお知らせいたします。

- 治癒切除不能な進行・再発の胃癌に対する化学療法との併用療法

- 治癒切除不能な胆道癌に対する化学療法との併用療法

治癒切除不能な進行・再発の胃癌に対する適応拡大について

胃がんは日本で3番目に多いがんで、がんの死因でも第3位となっています。2020年には約11万人が新たに胃がんと診断され*1、2022年には約4.1万人が亡くなっています*2。胃がんは初期症状がほとんどなく、長年にわたりゆっくり進行することが多いため、進行してから発見されることも少なくありません。IV期の胃がんと診断された患者さんの5年生存率は6.3%*3であり、新たな治療法の開発が喫緊に求められていました。

今回の承認は、化学療法歴のないHER2陰性の治癒切除不能な進行・再発の胃腺がんまたは食道胃接合部腺がん患者1,579例(日本人101例を含む)を対象とした国際共同第3相試験KEYNOTE-859試験や、KEYNOTE-062試験および KEYNOTE-659試験の結果に基づいています。

KEYNOTE-859試験において、キイトルーダ®と化学療法(フッ化ピリミジン系薬剤およびプラチナ系薬剤)の併用療法は、プラセボと化学療法の併用療法と比較して、主要評価項目である全生存期間(OS)について統計学的に有意で臨床的に意味のある延長(HR=0.78 [95% CI, 0.70-0.87]; p<0.0001)が示されました。また、副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)および奏効率(ORR)についても、統計学的に有意で臨床的に意味のある延長が認められました。安全性については、安全性解析対象例785例中751例(95.7%)(日本人48例中48例を含む)に副作用が認められました。主な副作用(20%以上)は、悪心325例(41.4%)、下痢252例(32.1%)、貧血243例(31.0%)、嘔吐215例(27.4%)、血小板数減少196例(25.0%)、好中球数減少193例(24.6%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群189例(24.1%)、食欲減退168例(21.4%)および疲労157例(20.0%)でした。

治癒切除不能な胆道癌に対する適応拡大について

胆道がん(胆管がんや胆のうがんなど、胆道にできるがんの総称)は、日本では決して珍しいがんではなく、2020年には約2.1万人が新たに胆道がんと診断されています*1。胆道がんは50〜70歳で診断されるケースが最も多く、初期では自覚症状は少なく、ある程度進行した段階で、皮膚や白目が黄色くなる(閉塞性黄疸)、腹痛、皮膚のかゆみなどの症状がみられます。予後は極めて不良で、IV期と診断された患者さんの5年生存率は肝内胆管がんで6.0%、 胆のうがんで2.1%と報告されています*3

今回の承認は、化学療法歴のない治癒切除不能な胆道がん患者1,069例(日本人102例を含む)を対象とした、国際共同第3相試験であるKEYNOTE-966試験等の結果に基づいています。

同試験において、キイトルーダ®と化学療法(ゲムシタビンおよびシスプラチン)の併用療法は、プラセボと化学療法の併用療法と比較して、主要評価項目である全生存期間(OS)の有意で臨床的に意味のある延長(HR=0.83 [95% CI, 0.72-0.95]; p=0.0034)が示されました。安全性については、安全性解析対象例529例中493例(93.2%)(日本人58例中55例を含む)に副作用が認められました。主な副作用(20%以上)は、好中球数減少321例(60.7%)、貧血278例(52.6%)、血小板数減少199例(37.6%)、悪心195例(36.9%)、疲労154例(29.1%)および白血球数減少139例(26.3%)でした。

*1 厚生労働省 全国がん登録 罹患数・率 報告 2020年

*2 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省 人口動態統計 確定数 2022年)

*3 国立がん研究センターがん情報サービス「院内がん登録生存率集計結果閲覧システム」(2014-2015年5年生存率 ネット・サバイバル)

MSDは、今後も重点分野と位置付けるがん領域で、これまで以上に患者さんと医療従事者のニーズにお応えできるよう努めてまいります。

キイトルーダ®について

キイトルーダ®は、PD-1に対するヒト化モノクローナル抗体であり、活性化T細胞上のPD-1に結合することにより、がん細胞上のPD-L1及びPD-L2との結合を阻害することで、がん細胞による活性化T細胞の抑制を阻害します。その結果、抑制されていたT細胞が再度がん抗原を認識した際に、再活性化され、がん細胞を排除できるようになります。

キイトルーダ®は、2017年2月15日に国内で販売を開始しました。これまでに「悪性黒色腫」「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」「再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫」「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌」「がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」「腎細胞癌における術後補助療法」「再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌」「根治切除不能な進行・再発の食道癌」「治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」「PD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」「ホルモン受容体陰性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術前・術後薬物療法」「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の子宮体癌」「がん化学療法後に増悪した高い腫瘍遺伝子変異量(TMB-High)を有する進行・再発の固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」「進行又は再発の子宮頸癌」「再発又は難治性の原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫」の効能又は効果について承認を取得しています。また、切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)に対する術前の化学療法との併用療法とそれに続く術後のキイトルーダ®単独療法、局所進行性または転移性尿路上皮がんに対するパドセブTMとの併用療法、局所進行子宮頸がんに対する同時化学放射線療法との併用療法、および、進行または再発の子宮体がんに対する化学療法との併用療法について申請中で、卵巣がんなどを対象とした後期臨床試験が進行中です。

 

以上

 


MSDについて

MSD(Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAが米国とカナダ以外の国と地域で事業を行う際に使用している名称)は、「最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善する」というパーパスのもとに結束し、130年以上にわたり、重要な医薬品やワクチンの開発を通して人類に希望をもたらしてきました。私たちは、世界トップクラスの研究開発型バイオ医薬品企業を目指し、人類や動物の疾患予防や治療に寄与する革新的なヘルスケア・ソリューションを提供するために、研究開発の最前線で活動しています。また、私たちは、多様かつ包括的な職場環境を醸成し、世界中の人々と地域社会に安全で持続可能かつ健康な未来をもたらすため、責任ある経営を日々行っています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト(www.msd.co.jp)やFacebookInstagramYouTubeをご参照ください。

参考資料

抗悪性腫瘍剤「キイトルーダ®」

参考資料

*今回の変更・追加部分は下線で表示