第3相KEYNOTE-641試験およびKEYNOTE-789試験の最新情報を公開
2023/03/16 15:00 Asia/Tokyo
報道関係各位
MSD株式会社
この参考資料は、Merck Provides Update on Phase 3 Trials KEYNOTE-641 and KEYNOTE-789 (https://www.merck.com/news/merck-provides-update-on-phase-3-trials-keynote-641-and-keynote-789/) の日本語訳であり、内容や解釈については英語が優先されます。適応症と安全性情報も米国のものであり、日本国内の情報ではありません。
KEYTRUDA®は、日本ではキイトルーダ®として、悪性黒色腫、切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌、再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫、がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌、がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)注)、根治切除不能又は転移性の腎細胞癌、腎細胞癌における術後補助療法、再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌、根治切除不能な進行・再発の食道癌、治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌、 PD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌、ホルモン受容体陰性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術前・術後薬物療法、がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の子宮体癌、がん化学療法後に増悪した高い腫瘍遺伝子変異量(TMB-High)を有する進行・再発の固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)、進行又は再発の子宮頸癌に対する効能又は効果で承認を取得しております。
注)条件付き早期承認対象
参考資料
第3相KEYNOTE-641試験およびKEYNOTE-789試験の最新情報を公開
2023年2月28日:ニュージャージー州ローウェイ Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., U.S.A.(米国とカナダ以外ではMSD)は本日、第3相試験KEYNOTE-641およびKEYNOTE-789の最新情報を公開しました。独立データモニタリング委員会の勧告に基づき、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対する抗PD-1抗体KEYTRUDA®(ペムブロリズマブ)とエンザルタミドおよびアンドロゲン除去療法(ADT)との併用を評価する第3相KEYNOTE-641試験を中止します。中間解析において、KEYTRUDA®とエンザルタミドおよびADTの併用療法では、プラセボ+エンザルタミドおよびADTと比較して、この試験の2つの主要評価項目である画像上の無増悪生存期間(rPFS)または全生存期間(OS)の改善が確認されず、OSについては事前に設定した無益性の境界(futility boundary)を超えました。この決定について治験責任医師への連絡を進めており、治験に参加されている患者さんには治療について医師と相談されるようお願いしています。
また、オシメルチニブを含むチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の治療後に進行した、上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異を伴う、遠隔転移のある非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の治療においてKEYTRUDA®とペメトレキセドおよびプラチナ製剤による化学療法の併用療法を評価する第3相KEYNOTE-789試験について、2つの主要評価項目のうちOSを達成しなかったことを発表しました。本試験の最終解析で、KEYTRUDA®+ペメトレキセドおよびプラチナ製剤による化学療法を受けた患者では、ペメトレキセドおよびプラチナ製剤による化学療法のみを受けた患者と比較してOSの改善がみられましたが、事前に設定した統計学的有意性の基準を満たしませんでした。もう1つの主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)について、この前に実施した中間解析でKEYTRUDA®群では化学療法単独群と比較して改善がみられましたが、統計学的有意性の基準を満たしませんでした。
KEYNOTE-641試験およびKEYNOTE-789試験においてKEYTRUDA®の安全性プロファイルはこれまでの試験で認められているものと一貫しており、新たな安全性の懸念は特定されませんでした。KEYNOTE-641試験においては、併用群では対照群と比較してグレード3〜5の有害事象および重篤な有害事象の発現頻度が高くなりました。結果は今後の医学学会で発表します。
当社研究開発本部シニアバイスプレジデントでグローバル臨床開発責任者、チーフメディカルオフィサーのEliav Barr博士は、「KEYTRUDA®の臨床開発を通して、当社はこの画期的な免疫療法の持っている力を信じて、一人でも多くの患者さんに貢献するため、あらゆる可能性を追及しています。サイエンスは因果が単純な一本線ではなく、様々な要因がからんでいます。このたびの試験結果は残念ですが、他の様々な難治性のがんを対象としてKEYTRUDA®の研究を鋭意続行します。これらの試験に参加してくださるすべての治験責任医師と患者さんに心から感謝します」と述べています。
KEYNOTE-641試験について
KEYNOTE-641試験は、mCRPCに対する化学療法歴がなく、アビラテロン酢酸エステルの投与歴がない、またはアビラテロン酢酸エステルに不耐容または投与後に疾患進行が認められた患者を対象として、KEYTRUDA®とエンザルタミドおよびADTの併用療法をプラセボとエンザルタミドおよびADTの併用療法と比較評価する無作為化二重盲検第3相試験(ClinicalTrials.gov, NCT03834493)です。主要評価項目はOSとProstate Cancer Working Group-modified RECIST v1.1を用いて盲検下独立中央画像判定で評価したrPFSです。副次評価項目は奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性などです。この試験では、推定1,240名の登録患者を、KEYTRUDA®(200 mgを3週間おきに最長約2年間静脈内投与)とエンザルタミド(160 mgを毎日)を投与する群と、プラセボとエンザルタミドを投与する群に無作為に割り付けました。
転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)について
前立腺がんは男性において2番目に罹患率が高いがんで、高い死亡率を伴います。前立腺がんの発症は多くの場合、テストステロンを含むアンドロゲンと呼ばれる男性ホルモンにより促進されます。mCRPCは、アンドロゲンの作用を抑制するADTを行ったにもかかわらず、前立腺がんが増殖し、他の部位に転移した状態です。前立腺がん患者の約10〜20%が5年以内に去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)に至ると考えられており、そのうち84%以上がCRPC診断時に転移を有しています。また、CRPC診断時に転移のない患者のうち33%に、転移が2年以内に発現するとされています。
KEYNOTE-789試験について
KEYNOTE-789試験は、TKI抵抗性EGFR遺伝子変異陽性の遠隔転移のある非扁平上皮NSCLC患者を対象としてKEYTRUDA®とペメトレキセドおよびプラチナ製剤による併用療法を、ペメトレキセドおよびプラチナ製剤による化学療法と比較評価する無作為化二重盲検第3相試験(ClinicalTrials.gov, NCT03515837)です。対象患者はRECIST v1.1に基づいてTKIによる治療後に疾患が進行し、(1) T790M 遺伝子変異陰性、(2) T790M 遺伝子変異陽性で、オシメルチニブ治療歴を有する、または(3) T790M 遺伝子変異の有無にかかわらず、オシメルチニブによる初回治療が無効の患者でした。主要評価項目はOSとPFSです。副次評価項目はORR、DOR、安全性などです。この試験では登録患者492名を以下のように無作為に割り付けました。
- KEYTRUDA®(200 mgを3週間サイクルの初日に静脈内投与、最大35サイクル)+ペメトレキセド(500 mg/m2を3週間おきに静脈内投与、サイクル数上限なし)+プラチナ製剤による化学療法(カルボプラチン[AUC 5を3週間おきに4サイクル静脈内投与]またはシスプラチン[75 mg/m2を3週間おきに4サイクル静脈内投与])、または
- プラセボ(生理食塩水を3週間サイクルの初日に静脈内投与、最大35サイクル)+ペメトレキセド(500 mg/m2を3週間おきに静脈内投与、サイクル数上限なし)+プラチナ製剤による化学療法(カルボプラチン[AUC 5を3週間おきに4サイクル静脈内投与]またはシスプラチン[75 mg/m2を3週間おきに4サイクル静脈内投与])
肺がんについて
肺がんは世界のがんの死因のトップとなっています。2020年だけでも世界で220万人以上が新たに肺がんにかかり、180万人が死亡しました。NSCLCは肺がんの中で最も多く、すべての肺がんの約81%を占めています。非扁平上皮NSCLC患者のうち、欧米では約10-15%、アジアでは最大40-50%にEGFR変異があると言われています。米国では、肺がんと診断された患者の5年生存率は25%で、過去5年で21%改善しています。生存率の改善は主に早期発見やスクリーニング、喫煙率の低下、診断や手術の進歩、新たな治療法の誕生などによるものです。肺がんの44%は進行するまで発見されないため、早期発見と検診は依然として重要なアンメットニーズとなっています。2021年に米国で肺がん検診を受けたのは、対象者のわずか5.8%に過ぎません。
Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の肺がん研究について
Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.は、死亡率の高い肺がんの転帰を改善することを目指し治療に変革をもたらす研究を進めています。肺がん研究の最前線に立ち、世界中の36,000人以上を対象とする200件近くの臨床試験を実施しています。米国では、KEYTRUDA®はNSCLCに対する5件の適応が承認されており(詳しくは当社英文リリースをご参照ください)、95カ国以上で進行NSCLCの治療薬として承認されています。早期肺がんに対するKEYTRUDA®の評価や、KEYTRUDA®の新たな併用療法や配合剤を特定するための研究などを進めています。
KEYTRUDA®について
KEYTRUDA®は、自己の免疫力を高め、がん細胞を見つけて攻撃するのを助ける抗PD-1抗体です。KEYTRUDA®はPD-1とそのリガンドであるPD-L1およびPD-L2との結合を阻害して、がん細胞を攻撃するTリンパ球を活性化するヒト化モノクローナル抗体です。
Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAは業界最大のがん免疫療法臨床研究プログラムを行っており、現在1,600を超えるKEYTRUDA®の臨床試験を実施し、幅広い種類のがんや治療セッティングを検討しています。KEYTRUDA®の臨床プログラムでは、さまざまながんにおけるKEYTRUDA®の役割や、KEYTRUDA®による治療効果が得られる可能性を予測する因子について模索しており、さまざまなバイオマーカーの模索も行っています。
KEYTRUDA®用法・用量・安全性情報について
用法・用量・安全性情報など一部情報は米国のもので、日本の情報ではありません。詳しくは当社英文リリースをご参照ください。
https://www.merck.com/news/merck-provides-update-on-phase-3-trials-keynote-641-and-keynote-789/
Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAのがん領域における取り組み
Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAでは、画期的な科学を革新的ながん治療薬に変換して世界中のがん患者さんを助けることに取り組んでいます。当社のオンコロジー事業にとって、がんと闘う人々を助けることは私たちの情熱であり、がん治療薬へアクセスしやすくすることは私たちの責任です。また、がん領域における取り組みの一環として、医薬品業界で一二を争う急成長を遂げている開発プログラムにより、30種類以上のがんに対するがん免疫療法の可能性を模索しています。また、引き続き戦略的買収を通じてポートフォリオを強化し、進行がんの治療を改善する可能性をもつ有望ながん治療薬候補の開発を最優先に進めています。当社のオンコロジー臨床試験について詳しくは、当社ウェブサイトをご覧ください。
Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAについて
Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., USA(米国とカナダ以外ではMSD)は、最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善するというパーパスのもとに結束しています。130年以上にわたり、重要な医薬品やワクチンの発見を通して人類に希望をもたらしてきました。私たちは、世界トップクラスの研究開発型バイオ医薬品企業を目指し、人類や動物の疾患予防や治療に寄与する革新的なヘルスケア・ソリューションを提供するために、研究開発の最前線で活動しています。私たちは、多様かつ包括的な職場環境を醸成し、世界中の人々と地域社会に、安全で持続可能かつ健康な未来をもたらすため、責任ある経営を日々続けています。詳細については、当社ウェブサイトやTwitter、Facebook、Instagram、YouTube、LinkedInをご参照ください。
Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAの将来に関する記述
このニュースリリースには、米国の1995年私的証券訴訟改革法(the Private Securities Litigation Reform Act of 1995)の免責条項で定義された「将来に関する記述」が含まれています。これらの記述は、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAの経営陣の現時点での信条と期待に基づくもので、相当のリスクと不確実性が含まれています。新薬パイプラインに対する承認取得またはその製品化による収益を保証するものではありません。予測が正確性に欠けていた場合またはリスクもしくは不確実性が現実化した場合、実際の成果が、将来に関する記述で述べたものと異なる場合も生じます。
リスクと不確実性には、業界の一般的な状況および競争環境、金利および為替レートの変動などの一般的な経済要因、昨今の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行の影響、医薬品業界の規制やヘルスケア関連の米国法および国際法が及ぼす影響、ヘルスケア費用抑制の世界的な傾向、競合他社による技術的進歩や新製品開発および特許取得、承認申請などの新薬開発特有の問題、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAによる将来の市況予測の正確性、製造上の問題または遅延、国際経済および政府の信用リスクなどの金融不安、画期的製品に対するMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAの特許権やその他の保護の有効性への依存、特許訴訟や規制措置の対象となる可能性等がありますが、これらに限定されるものではありません。
Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAは、新たな情報、新たな出来事、その他いかなる状況が加わった場合でも、将来に関する記述の更新を行う義務は負いません。将来に関する記述の記載と大きく異なる成果を招くおそれがあるこの他の要因については、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAに関するForm 10-Kの2022年度年次報告書および米国証券取引委員会(SEC)のインターネットサイト(www.sec.gov)で入手できるSECに対するその他の書類で確認できます。
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MSDについて
MSD(Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., USAが米国とカナダ以外の国と地域で事業を行う際に使用している名称)は、最先端のサイエンスを駆使して、世界中の人々の生命を救い、生活を改善するというパーパスのもとに結束しています。130年以上にわたり、重要な医薬品やワクチンの発見を通して人類に希望をもたらしてきました。私たちは、世界トップクラスの研究開発型バイオ医薬品企業を目指し、人類や動物の疾患予防や治療に寄与する革新的なヘルスケア・ソリューションを提供するために、研究開発の最前線で活動しています。私たちは、多様かつ包括的な職場環境を醸成し、世界中の人々と地域社会に、安全で持続可能かつ健康な未来をもたらすため、責任ある経営を日々続けています。MSDの詳細については、弊社ウェブサイト(www.msd.co.jp)やFacebook、Twitter、YouTubeをご参照ください。